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2024.03.24

安藤建築と藤森建築

ブログをお読み頂きありがとうございます!久村です。
1カ月が余りに早く過ぎ去って行くので、もっとブログを書かねば!
と焦りながら久々のブログ更新です。。

今回は旅先からのレポート。
春休みに関西方面に家族旅行に行き、
そこで訪れた二つの建築物に色々考えさせられたお話です。

茅野から車を走らせることおよそ5時間、安藤忠雄さんの六甲の集合住宅に到着です。
元々は施主から敷地として山裾の平地を想定し、集合住宅の設計依頼を受けたそうですが、現地を訪れた安藤さんはその敷地の背後に迫る60度の急傾斜に意識が向いたそうです。

当時は宅地開発というと、地形を無視して平地に造成し、どこにでも同じような住宅を建てるという風潮(今も変わっていないような・・・)が蔓延しており、これに強い疑問を覚えていた安藤さんはこの傾斜を利用してこの場所にしかない住空間をつくりたいと考えたそうです。

その答えとして、建築物の基礎が傾斜地の土留めの擁壁の機能を果たすようにして設計したのがこの六甲の集合住宅だったそうです。第一期竣工は1983年と今から約40年前の事ですが、色褪せることなく六甲の山裾に馴染むように、でも恐ろしいまでの存在感を放って佇んでいました。

一方帰りに立ち寄ったのはこちら滋賀県近江八幡市にあるラ・コリーナ近江八幡。茅野が誇る異色の建築家で建築史家の藤森照信さんの建築。お菓子の製造販売を手掛けるたねやグループさんの本社や店舗が集まる拠点です。

季節が季節だけに茶色の世界は想像していたのですが、それでもご本人のお話の通り背後の八幡山に馴染むように心がけた建築は確かに山並みの一部になっていました!ご本人も好きだと仰っている低くて深い軒のおかげで外壁はほとんど見えず、建築物というより自然物みたいでした。

外観だけではなく構造や意匠にも無垢材や塗り壁といった天然素材がふんだんに使われていて、自然との調和を図る意図が随所に見られました。こちらは2016年竣工と割と新しいです。

家族旅行の通過点で立ち寄った二つの建築。
計画された年代も背景も全く違うのに、どちらも「環境との融合」と「画一的なものとの決別」という大きなテーマが共通していたのがとても心に響きました。
そしてそれは40年以上経っても同じ課題を世の中が抱えている事の裏返しでもあるんだな、と思った次第です。

同じく分類するのは大変失礼にあたるのですが、私自身も自然豊かな茅野市に住みながら、農地や森林が切り売りされ丸裸の造成地に既製品のような住宅が立ち並んでいく現状を歯がゆく見ています。
まだ公にはできないですが、その開発に異を唱える宅地開発の新しい形の構想を少しずつ進めています。この八ヶ岳山麓の景観に合った新しい町並みを年内にはスタートさせたいと思っています。

ちなみにこれは個人的な意見ですが、茅野市は西口再開発が徐々に進んでいくようですが、この茅野駅なのかベルビアなのか、西口の目玉の建物を地元建築家の藤森さんにやってもらえないのかな?と思っています。

ラコリーナ近江八幡さんに詰めかけるお客さんの数を見て、茅野駅周辺にも藤森建築が誕生したらそれだけで観光名所になるのに、と思いました。。。

それではまた。
長文にお付き合い頂きありがとうございました。

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